パペットの楽しみ方や実例

操演について~言葉を使わず動きと音で表現を広げる~

パペットは、顔の表情ひとつとっても、人間よりも筋肉の動きも少なければ、しわや顔色が変わるわけではありません。
 
視覚からくる情報量は、実際の人間よりもはるかに乏しいのです。にもかかわらず、なぜパペットは見る者の心をつかむのでしょうか?

私は短大の保育科で児童文化演習という授業を行っていた時、人形劇の台本を書く学生に「ナレーションを使わないで表現する」という課題を出します。
 
言葉で説明する表現を否定しているのではなく、それ以外の表現方法を見つけて欲しいからです。
 
最初のうち学生は、「次の日の朝になりました」を言葉以外で表現する事において戸惑います。そんな時は「朝を連想する音を言って見よう」と連想ゲームをすることで、徐々に学生たちの想像力が広がっていきます、「チュンチュン」という雀の鳴き声「バサッ」という朝刊がポストに入った音などです。これらの音は、説明の言葉ではなく、何かしらの行動を伴った音になっています。音の向こうに、生き物の動きが見えてきませんか?

想像力によって実際よりも膨らんだ表現になっていきます。
 
人形劇でもパペットの表現でも、説明で埋め尽くして理解してもらうのではなく、見ている人の想像力と結びつくような余白を大切にしたいと、私は心がけています。
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